特定の企業や個人の税負担を優遇する「租税特別措置」(租特)による法人税の減収額が、2022年度は2兆3015億円にのぼり、現行の制度になった11年度以降で最高となったことが財務省の試算でわかった。コロナ禍で肥大化した予算の無駄遣いが指摘されるなか、「隠れ補助金」とも呼ばれる巨額の減税が続いている。どの企業に適用されたのかなどの情報開示も乏しく、政策効果は不透明だ。
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財務省は毎年、租特によってどれぐらい減収したかを試算して国会に報告している。4月に提出された最新の資料によると、22年度の減収額は8兆6975億円となり、9年連続で8兆円を上回った。同年度の税収(71兆1374億円)の12.2 %に及ぶ金額で、消費税でいうと約3%分に相当する。減収が10億円未満の項目や、データ不足で推計が困難なものは含まれていないため、実際の減収額は多くなる可能性がある。
法人税では、企業の研究開発費の一部を法人税から差し引く「研究開発減税」の合計額が7636億円で、前年度より17・0%増、従業員に支払う給与を増やした分の一部を減税する「賃上げ減税」は5150億円で、前年度(2430億円)から倍増した。この二つは「メガ減税」(財務省幹部)と呼ばれ、法人税の減収額約2兆3千億円全体の半分強を占める。
問題は、国が守秘義務の観点…